親の存在が苦しい人のためのブックガイド

おもに親子関係や人間関係の本の感想です

過干渉母が子にしがみつくのは不安や不満を解消するため

過干渉母と離れたくて仕方がなかった

一人っ子だったせいもあるでしょうが、私の母はとんでもなく過干渉な人でした(→具体例:私はいかにしてアダルトチルドレンになっていったのか (~24歳) - アダルトチルドレン回復のきろく)。

母の言う通りにしないと一晩中怒っていたりする(それに触発されて父が母に対して怒り出して大喧嘩になる)ので、生きるために従わざるを得ませんでした。

母は常々「あんたのためを思って」と主張していて、子どもとしては「そうなのか、、、」と信じざるを得なかったものの。

母は母自身のために私をコントロールしていたのだ、ということを、この本を読んでいてはっきり認識しました。

 

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子にしがみつくのは不安や不満を解消するため

 

あらゆることを勝手に決めつけられ、母の思惑通りに進むのが、つらくてつらくてたまらなかった。

それってもう、「あなたのため」ではないですよね。
だって、本人はとてもつらいんだもの。
子どもが嫌がることをやっているのだもの。

母は、私を支配することで、不満や不安を解消していたのだと思います。
つまり、母自身のためなのでした。

子供にしがみつくというのは、親の側に不安や恐怖があるからである。
加藤諦三『自分にやさしく生きる』Kindle版 位置No.868

他人を奴隷化することによって不安から逃れようとすることがあるということである。
加藤諦三『自分にやさしく生きる』Kindle版 位置No.873

 
人間関係でなくても、何かものごとが思い通りに進んだらスカッとするというか、達成感みたいなものがありますからね。

「他者を思い通りに動かす」という行いは、想像以上にストレス解消になるのでしょう。

 

親子の役割が逆転している

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では、なぜ母が子を通してストレス解消するようになってしまったのかというと、原因は母自身の子供時代にさかのぼると思われます。

母もまた、愛情不足のうちに育てられたからなんですよね。

幼い日、自分が望むだけの注目を自分の親から得られなかったために、その不満の解消を自分の子供からの注目で代替しようとするわけだ。

加藤諦三『自分にやさしく生きる』Kindle版 位置No.927


親戚に聞いた話だと、母は末っ子だったこともあり、祖母から放置ぎみだったようで、姉(私からすると伯母)たちに育てられたようなものだったようです。

今思い返すとまさに、「注目してくれ」「ほめてくれ」「大切に扱ってくれ」ということが、母のすべての根源にあったのだろうと思います。

それ自体は気の毒ですが、子どもに親の役割を求めるのはおかしな話です。

しかし子供だった私には、そこまで気づくことができませんでした。

理不尽なことも含め、すべてを「しつけだ」とか「あんたのためを思って」と母が主張したために、一貫性のなさに混乱するばかりでした。

ですが、あるとき「愛情ゆえ、のわりにはあまりにもおかしくないか?」とはっきり認識したことがあります。

当時、「優秀でないとこの家から追い出される」と思い込んでいた私は、大学受験の勉強が手につかなくなり、鬱状態になっていました。

身体は健康なはずなのに、実際に呼吸が苦しいほどつらかったんです。
毎日絶望し、悩み、泣いていました

その一方で、母は不自然なほどにケロっとしていたんです。
普段、不平不満ばかりのくせに、妙に元気だったんです。

 (不安を抱えた)親の心理的安定の条件は、子供の心が病んでいることなのである。

加藤諦三『自分にやさしく生きる』Kindle版 No.932
※カッコ内は本記事執筆者が追記しました

 
まさにそんな感じでした。

母は、私が悩んでいるのを見て「母のもとから離れていかない」ことを確信して、ある意味安心していたのでしょう。

何でもかんでも「あれはダメこれはダメ」と言い、特に人間関係に口出ししてきたのは、私が母から離れていくのを防ぐためにやっていたんだろうな、と思います。

そうまでしても、子にしがみつないと生きていけなかったんでしょうね。
ストレス解消の手段だから。

そうまでしないと生きられない母は母で気の毒ではありますが、ストレス解消のために使われていたと思うと、やりきれません。

しかも、こちらが距離をとろうとしても、血縁などを持ち出してしがみついてくるから厄介。

 共生関係を求める不安な人間は、逃げても逃げても何らかの口実を見つけて追いかけてくる。相手にしがみつき、相手を自分の意に従わせることによって不安を解消しようとしているからである。

加藤諦三『自分にやさしく生きる』Kindle版 No.974


「命かけて産んでやったのに」
「髪振り乱してここまで育ててやったのに」
このような血縁を主張してくる言葉に絡めとられ、私自身、なかなか母を突き放すことができませんでした。

むしろ、「親にやさしくできない私は人間失格だ」くらいに思っていました。
それで結局、絶縁できたのはもっともっと後のことです。

このような、「絆」系の事項を持ち出すやり方、親子や親戚でなくても、ありますよね。

「私たち友達だよね? 友達ならやってくれるでしょ?」
など、様々なバリエーションを体験したことがある……。

誰かに支配されることに慣れていると、その匂いを嗅ぎつけた人が周りに集まってきて、どんどん私を使ってストレス解消していくんですよ……。

それに気づいてから、「全部リセットしないと、私の人生はストレス解消の道具として終わる」と思って、人間関係を見直すようになりました。

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おわりに

・血縁や友情などを持ち出して支配しようとして来る人には要注意!
・過干渉や支配系の人はこちらを思い通りに動かすことで不安やストレスを解消している
・過干渉や支配系の人からは離れるに限る(※)
(※)諸般の事情ですぐに離れられないという場合は、反応を薄くするのも手。

という話でした。

 

参考文献

加藤諦三『自分にやさしく生きる心理学 やっとつかんだ私の人生』Kindle版