子どもの頃はそんなに気にしたことがなかったのですが、思春期以降、「どうにも力が発揮しきれない、なんかおかしいな、自分の中で歯車がかみ合わないぞ」というような感覚を覚えるようになりました。
若い頃は、「単なる力不足」だと思っていたのですが、年齢・経験を重ねても感じる場面はあり「なんかこれ、精神的なストッパーあるな」と思うようになりました。
その一因は、自分から自分への声掛けにあったのかもしれない。
『理想の自分をつくる セルフトークマネジメント入門』という本を読んでいて、そう思いました。
どんな本?
本書では、持てる力を十分に活かしきれない原因として、自分の内側における自分自身との対話(セルフトーク)に着目しました。
鈴木義幸『理想の自分をつくる セルフトークマネジメント入門』ディスカヴァートゥエンティワン Kindle版 位置No.25
本書で扱う「セルフトーク」を言い換えると「とっさにかける自分への言葉」という意味合いかなと思います。
具体的な例を挙げると、プレゼンや発表会の前などに「うわ、緊張してきた……もし、失敗したらどうしよう」と焦るアレですね。
「どうしようどうしよう」と焦ったり、「緊張を止めなきゃ」と思っているうちに、余計に緊張してしまったという経験はどなたにでもあるのではないでしょうか。
あるいは、プレゼンの冒頭で言い間違えてしまって「しまった!! 早速間違えた! どうしよう!」と焦り、その後もボロボロのままプレゼン終了、とか。
一方で、「まあ、ここまできたらもう、出たとこ勝負だ」とフッと力が抜けて、落ち着いてこなすことができた、という場合もありますよね。
このようなセルフトーク、つまり、「とっさにかける自分への言葉」をマネジメントできれば、持てる力を発揮できるようになる、というわけですね。
どうすれば力が発揮できるような問いかけを自分に行えるか、ということが解説されているのが本書です。
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劣等感が強いとセルフトークが生まれやすい
そもそも、なぜネガティブなセルフトークが生まれるかというと、アイデンティティを守るためではないか、と著者は言います。
人間は生き残るために本能的にアイデンティティを持ってしまうそうです。
私の場合で考えてみると、「(勉強など)1番でなければ母の機嫌を損ねた」という経験から、「常に優秀な私でありたい(あらねば)」という理想像(というか強迫観念)にこだわっていた時期がありました。
しかし、常に優秀でい続けられるかというと、上には上がいますし、周囲の人も努力しているので、そう思い通りにはいきません。
すると、「理想の私」と「現実の私」にギャップが生じます。
でも、なかなかすぐには認められないんですよね、「現実の私」を。
それで「こんなはずじゃない、もっと頑張らなくちゃ!」とか「失敗したら大変なことになる!」とか「なんで私はこんなこともできないんだろう(怒り、情けなさ)! なんてダメな人間なんだ!」など、自分にムチを打つようなセルフトークをくり出すようになってしまいました。
とはいえ、劣等感をはじめとする、価値観自体をどうにかしようとするのはとても難しいこと。
ある出来事に対してどう思うか(感情)を変えるのも難しい。
いきなり行動を変えるのも難しい。
なので、セルフトークの部分を変えてみよう、というわけですね。
セルフトークを変える
セルフトークの扱い方としては、①変える ②うまく使う ③減らす ④なくす の四つが本書では紹介されています。
いきなりなくすのは難しいので、私は「ネガティブなセルフトークを変える」ことから着手してみようと思いました。
具体例を一つ紹介します。
たとえば冒頭で挙げたプレゼンの例。
「失敗したらどうしよう」と思ってしまう根底には、「優秀だと思われたい」とか「上司や同僚にガッカリされたくない」などがありますよね。
これ、無意識のうちに、自分を守ろうとしているのですよね。
けれども、本来、プレゼンの役割を考えてみると、「相手に大事なことを伝える」というのが本質。
「主賓や出席者のためには何を伝えるのが役に立つか?」
「どう話せば、相手にこの商品のよさを理解してもらい、相手の仕事をより快適にすることができるか?」
と、どのように相手に貢献できるかに焦点を変えてみることをおすすめします。
鈴木義幸『理想の自分をつくる セルフトークマネジメント入門』ディスカヴァートゥエンティワン Kindle版 位置No.1095
これ、ほんとその通りだよなーと思います。
頭ではわかっていても、いざその場面になると緊張しちゃうんですけどねー。
仕事に限らず、人間関係や趣味においても、つい「いい格好」しそうになりますけど、相手は別に望んでないし、結局自分のためなんですよね(ああ、自分で書いていて、耳(目?)が痛い)。
人が自分の実力を最大限に発揮できるのは、おおむね誰か他の人のために行動する場合です。
鈴木義幸『理想の自分をつくる セルフトークマネジメント入門』ディスカヴァートゥエンティワン Kindle版 No.1090
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おわりに
うまくやろうとしているとき、本当は「自分を守ろうとしている」のだとわかりました。
逆説的ですが、「うまくやろうとする」からこそ「うまくいかなくなる」のですね。
「失敗したらどうしよう」が出てきたら、「今できることは何か」「相手の役に立つことはあるか」という視点に変えるよう、心がけてみようと思いました。
(難しそうではありますが)