ししもとの読書ノート

生きづらさの軽減をめざして

相手の異常さを受け入れ身をゆだねる |感想『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法』

「やっかいな人」って、結構いるものですよね。
私の場合は「母」です。

私に対する過干渉やコントロールはもちろん困ったものでしたが、それ以前に頭を悩ませていたのが「そもそも話し合いができない」ということでした。

母は、自分の意見と違うことを言われたり、思い通りにならなかったりすると、ある種のパニック状態に陥り、「騒ぐ」という手段に出る人でした。

誇張ではなく、本当に「騒ぐ」のです。
ひたすら大声で文句を言ったり、だれかを罵ったり、ほとんど泣き叫んでいるような状態のこともありました。
小さな子供が癇癪を起こして、床にへばりついたりしているのをたまに見かけますが、あれとほとんど同じです。

さらに困るのが、一度騒ぎ出すと、何時間も止まらないこと。
母の思い通りにしないと、本当に一日中怒っているので、こちらとしても生活がままならず、実質的に従わざるを得ませんでした。

現在、母とは距離を置いていますので、騒がれてヘトヘトになることもなくなりましたが(その分、父や伯母に負担がかかっているので、それはそれで悩み中です)、「母(=やっかいな人)」の存在はやはりトラウマで、「あのときどうすればよかったのだろうか」といまだに思うことが多々あります。


そこで、こちらの本を読んでみました。

マーク・ゴールストン『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法』

身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法

身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法

  • 作者: マーク・ゴールストン,レッカー由佳子,室?育美
  • 出版社/メーカー: あさ出版
  • 発売日: 2018/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

どんな本?

本書でいう「やっかいな」「異常な」とは、「理不尽な言動」のこと。

どうしてそのような理不尽な言動に出てしまうのかを解説し、相手のパターンごとに対処法を紹介している本です。

「なるほど」と目から鱗の例もありましたが、実際に実行するとなると、だいぶ勇気が要りそうだな、とも思いました。

まあ、実行しなくとも、メカニズムを知るだけでも、楽になることもあると思うので、「やっかいな人」に困っている方は読んでみるといいと思います。

やっかいな言動は脳のずれから生じる

本書では「三層の脳」として「①脳幹 ②大脳辺縁系 ③大脳皮質」を挙げています。
これらの部分は協働しながら働いているのですが、ストレスがかかると、各部分がつながらなくなるそうです。


やっかいな言動をする人というのは、もともとこの「三層の脳」がアンバランス。
特に爬虫類脳と呼ばれる脳幹がメインで働いてしまっているので、本能的になるといいますか、理屈が一切通用しない状態になるのだそうです。

どうしてこのアンバランスさが生じるかというと、幼少期の経験も大きいようです。

人がどのくらい異常、あるいはどのくらい健全になるかは、幼年期の経験が影響している。

マーク・ゴールストン『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法』P.27


過保護に育てられたり、いつも批判されたり、関心を示してもらえないと「やっかいな人」になる傾向があるようです。


そんな「やっかいな人」への基本的な対処は、「相手の異常さを受け入れ、身をゆだねる」こと。

相手の異常さを受け入れるだなんて、ますます相手が増長してしまうのでは、と思ってしまいますよね。
しかし、ここで戦おうとすると、自分も理性を失うので、事態がますます悪化します。

「やっかいな人」が異常な言動をしているときって、ついこちらもつられて感情的になり、怒ってしまうものです(アミグダラ・ハイジャックというそうです)。

大事なのは、相手が異常でも、こちらは理性を失わないこと。
相手の出方を予想しておいて、迎え撃たない。

怒りをぶつけられたときなどは

「あなたの口調や言葉遣いは感心できない。一応要点をはっきりさせるために聞くけど、いったい私にどうしろと言いたいの?」

マーク・ゴールストン『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法』P.27

こういった問いかけを繰り返す。


たしかに、相手が必死に正しさを主張してくるときなどに、「それは違う!」と反論すれば、火に油を注いだような状態になりますが、「あなたはそのように考えているのですね(私の考えとは違うけれど、そういう考え方もあるにはある)」といったん受け止めると、沈静化することもありますよね。

冷静な言葉をかけることで、我に返る余地のある人には効きそうです。

ただし「やっかいな人」の中でも、「人格障害者」と呼ばれる人たちについては、素人にはどうしようないから専門家を頼るしかない、と著者は述べています。


理不尽な言葉は振られたソーダの泡

本書第3章では、「やっかいな人と向き合う13の方法」が紹介されています。
詳細は省略しますが、その中で「そうだったのか! 早く知っておきたかった!!」と思ったことがありましたので記しておきます。

私の母の場合、「騒ぐ」モードになると、もはや会話などは完全に破綻、こちらの言葉も一切耳に入らなくなります。
それどころか、次から次へと絶え間なく罵詈雑言を吐き出すのです。

私はこの罵詈雑言を真に受けてしまっていたのですが、実はこれらの理不尽な言葉、「やっかいな人」からすると、ほとんど意味はないらしいのです。
途方に暮れて感情的になり、発散したいだけなのだ、と著者はいいます。

振られたソーダの泡があふれ出ていると思えばいい。

マーク・ゴールストン『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法』P.147

 

えー!! ただの泡!?
罵詈雑言はただの発散なのですね。
あー、真に受けて損した……。

どうりで「あのときああ言ったよね」と母に言っても「いや、言ってない」と完全否定するわけだ。覚えていないんですね、本人も。単なる感情の発露だから。

真に受けずに「あー、泡ふいてるなぁ」と捉えれば、少しは傷も浅くて済んだのでしょうか……。

素直だった私は無防備で、罵詈雑言がずぶずぶと胸に刺さっていくのを、ただひたすら耐えるだけでした。

今後、もし、怒り狂っている人を見かけても、あまり心を痛めず、「ああ、感情の行き場を失っているのだな、発散しているのだな」と思うことにしようと思いました。
相手にも、感情を発露する権利はありますからね(他者にぶつけるのは称賛できませんが…)。

※常に怒っている人は人格障害の可能性があるので、プロを頼ってくださいとのこと。


おわりに

やっかいな言動が脳のずれから生じている、というのは、納得感がありました。

そのメカニズムを知っているだけでも、やっかいな言動をする人に対して、「何?この人……」と引いてしまうのではなく、「ああ、脳のバランスが(一時的にせよ、恒常的にせよ)ずれてしまっているのだな」と少しは冷静でいられそうだと思いました。

「やっかいな人と向き合う13の方法」のうち、自分にもできそうな方法があったので、困ったときに試してみようと思います(まぁ、困った状況に陥らないのがベストですが……)。


広告