客観的には特に問題ないはずなのに、なぜか異常に生きづらい。
そんな状態から、過去にさかのぼり、からまった問題を一つずつほどいてきました。
病的に過干渉で依存的な母とも離れました。
自分を傷つける要因はできるだけ排除してきました。
そのおかげで、苦しみながら生きていた頃と比べると、今は「心身ともに自分史上最も健康」な状態です。
死にたいと思っていた頃からすれば、もうこれ以上を望まなくてもよいのかもしれません。
でも、それなりに心身ともに健康になると、「なんとなく、もうあとひといきな感じがする」のです。
では、何が「あとひといき」なのか。
いまだに虚しさにとらわれるようなことはもちろんあって、その大元を突き詰めていくと、たいていは自己肯定感の心もとなさに行き当たります。
とはいえ、最近は自分に対して「まあ、こんなもんか」くらいには思えるので、「私はダメ人間だ、ダメなのだからもっと頑張らねば」と自らにムチを打っていた過去に比べれば、だいぶ良い状態ではあるのですが。
今のままでも決して悪くはないのですが、より人生を拡大していける可能性があるならチャレンジしてもいいのかなと(自分に余力がないと誰かを助けることもできませんし)。
結局のところ、自己肯定感を育て直していくしかないな、と思いました。
というわけで、Kindle Unlimitedにて「自己肯定感」で検索したところ、結果に挙げられたのがこちらの本。
加藤隆行『「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由』 小学館eBOOKs(2019)Kindle版
私自身も「会社行きたくない」とかつて泣いていたので、自分にフィットするかも、と思い、読みはじめました。
どんな本?
この本では、なにをやっても職場の人間関係がうまくいかなかったボクが試行錯誤のすえにたどり着いた「自己肯定感が高い人の人間関係がうまくいく理由」と、だれにでもできる「自己肯定感のはぐくみ方」について、お話していきます。
加藤孝之「「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由」 小学館eBOOKs(2019)Kindle版 位置No.240
前半で、自己肯定感とは何か、なぜ肯定感が崩れていくのか、自己肯定感が低い人がやりがちな言動、自己肯定感を取り戻すための考え方、など、誰にでも参考になることが書かれています。
後半では、より具体的に「会社行きたくない」人向けに、職場での困りごと、職場での人間関係などに対処する考え方が展開されています。
比較的抽象度の高い話も、現場で使える知識もある本、という印象でしょうか。
まずは、本書の基本的なところを参考にしつつ、自己肯定感について自分なりに考えていきます。
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自己肯定感を上げるには
自己肯定感って?
最近はこの言葉も有名になったので、わざわざ説明しなくてもよいかもしれませんが、自己を肯定する、つまり「ありのままの自分でOK」と思える感覚、ということですね。
客観的な評価とか絶対値とかは関係なくて、「自分が自分に対してどう思うか」ということです。
以前の私の例でいうと、「自分はダメだ、ダメだからもっと頑張らないと!」という状態は自己肯定感の低い状態、ということになります。
本書ではこのような「自分はどうせダメだから……」というタイプを「悲観」タイプとしています。
一方でやけに自信がありそうな人、「俺/私はすごいんだぞ」系の人もまた、実は自信がありません。
「(俺/私はダメなのか、いや)そんなことない! 俺/私を認めろ! 俺/私を認めない周りの奴悪い!」と強く出ることで肯定を奪おうとしているのですね(反抗タイプ)。
いわゆる「上から目線の人」もこれに相当しそうですね。
周囲を見回しても、思い当たる人がいるのではないでしょうか。
私自身も、「悲観」と「反抗」が混ざっているタイプでした。
自己肯定感が低いと何が問題か
自己肯定感が低いと、「どうせ失敗する」と思ってしまいやすいので、チャレンジすること自体が減る、と著者はいいます。
その結果、じわじわ茹でられるカエルみたいに「挑戦しないことによって、いつの間にか失敗している」状態になっているのですよね。
また、「俺/私を認めないあいつらが悪い」と思っていると、周囲の人は「敵」なわけですから、人間関係もうまくいきません。
肯定感がなくなっていくわけ
なぜ自己肯定感が低くなってしまうかは、この記事を読んでくださっている方にはすでに想像がついているかもしれません。
成長のどこかの過程で、誰かにひどく否定されるような経験があるのではないでしょうか。
そこまでいかなくとも、「親が気に入るときのみ存在を許された」とか。
否定されたときのショックが大きかったり、日常的に否定されていると、自分自身が自分に対して「ダメ出し」をするようになってしまうと思います。
そしてそれは、やりすぎると「癖」にまでなってしまいます。
私も、呼吸するのと同じくらいの頻度で、自分に対して「ダメだダメだ」と声をかけていた時期がありました。
親などの批判者を「監視装置」として、自分の中に内面化してしまっているような感じでした。
とりわけ私の母は、テストで98点だと「なんでこの2点取れなかったのよ」と何時間もぐちぐちやる人でしたから、私自身もいつのまにか「失ったほうの2点」に執着してしまうようになりました。
それは、勉強以外のことでも同じです。
自分に対しても、周囲の人間に対しても「ちょっとした粗」が気になって許せないのです。
でも、生き物である以上、「完璧」はありません。
また、完璧に固執すると、次第に「どうせ完璧にできなかったら粗探しされるのだから、やるだけ労力が損」というような考えになっていきます(私がそうでした)。
しかし、ムダだから、と動かなければ動かないほど、無気力は募り、事態が悪化するのですよね。
(参考>>>自分を使わないからこそ不安になる |感想『「行動できない人」の心理学』)
「自分もOK、相手もOK」の道しかない
自己否定しているということは、自分に対して攻撃しているわけです。
つまり、自分にとっては、周囲の人だけでなく、「自分自身も敵」の状態。
自分と一番長い時間を過ごす「自分」が敵なのですから、そりゃあ気が休まるわけがありませんよね。
結局は、自分自身との人間関係を良好にし、自分のOKを出しながら、その先に他人にもOKを出していく【肯定タイプ】になることだけが、健全なメンタルを手に入れ、安心安全な職場環境を手に入れる方法です。
加藤孝之「「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由」 小学館eBOOKs(2019)Kindle版 位置No.435
まずは、自分とのケンカをやめる。
自分をむやみに責めないことから。
そうして自分と仲直りしたら、周囲の人に対しても「まあ、こんなもんか」「忙しくて余裕のないときは、まあ、あるよね」とかOKを出せるようになる、ということですね。
具体的にどうしたらいい?
詳細な方法は本書をご覧いただくとして、ポイント引用するとここかなと思います。
自己否定やネガティブな感情にこそ、「それに気づけてOK」を出す。
加藤孝之「「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由」 小学館eBOOKs(2019)Kindle版 位置No.654
社会的に「よし」とされるようなことや、目に見える結果だったら、自分でも肯定しやすいですよね。周囲の人も「結果出よかったね」などと声をかけてくれるかもしれませんし。
一方で、ネガティブな感情(つらい、むかつく、不安……)は、自分こそが認めてあげないと、「なかったこと」になってしまいます。
でも実際は、「なかったこと」にはできないんですよね。
圧縮して、心のどこかに追いやられているだけ。
じわじわと煮込まれて、いつか爆発したりもするのです。
だからこそ、ネガティブ感情は自分が認める。
正しいとか正しくない、良い悪いは関係ないのです。
「〇〇という感情が私のなかに存在する」ということ自体を認めるというわけですね。
「課長ムカつくわぁ。ムカついていることに気づいているよ! OK!」
加藤孝之「「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由」 小学館eBOOKs(2019)Kindle版 位置No.650
まあでも、自己肯定感の回復にはけっこう時間がかかると思う
自己肯定感を上げよう、と言うてもですね。
そう簡単に自己肯定感が回復するのだったら、こんなに人は悩みませんよね。
自己肯定感の低さがなかなか解消しないのは、やはりある程度長期的に取り組む必要があるからだろうと思います。
「自己否定が癖」になっているので、その「癖」をまずはやめる過程なのですけど、「癖」ってやめるのが本当に難しいですものね。
たとえば、鼻をさわる、びんぼうゆすり、考えるときに髪をいじるなど身体的な癖を考えてみても。
ほぼ無意識にやっているので、なかなか治せないのではないでしょうか。
ましてや、何十年もやっていたらどうでしょう。
考え方の癖もきっと同じですよね。
30年自己否定してきたのだとしたら、それと同じ時間分、修正するのにかかってもおかしくないのでは、と私は思うのです。
ということは、長期的にコツコツ取り組むことが必要になるわけですが……
すぐに否定されるような環境で育っていると、そもそも「長期的にコツコツ」が苦手なんですよね(やってるそばから「なんだ、結果出てないじゃん」などと文句言われるので)。
それでも、中断しながらでいいから、再開しながらでいいから、「否定の癖」が出ていることに気づいたら修正する。
いかなるときも「否定しない」をできる限り心がけ続けていくのが唯一の道なのかもしれません(自戒を込めて)。
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書き終わって読み直すと、この記事と本質的には似た内容かなと思いました。