「欠けているもの」に目を向けているから不満なのではなく。
不満だからこそ→「ないもの」に目がいく。
不満は憎しみから生じるものであり、憎しみを取り除かないと幸せにはなれない。
憎しみを取り除くにはどうしたらいいか、というのが前回の記事でした。(憎しみを取り除くには |感想⑦『「大人になりきれない人」の心理』)
憎しみを取り除く具体的な方法として
→怒りがでたらひざまずいて祈る(「ひざまずく」という姿勢のまま怒ることはできないから)
とあったのですが、「ひざまずく」「祈る」という動作は、我々日本人にはあまりなじみがないせいか、ピンとくるようなこないような。
もうひとつ、恨みを消す方法として紹介されていた「人から何をしてもらった日記」のほうが取り組みやりやすいかもと感じたので、紹介します。
広告- - - - - - - - - -
恨みを消すために
「人から何をしてもらったか」の日記をつける
自分と向き合う過程において、自分を利用してきたずるい人に対する恨み辛みが噴出することもあると思います。
しばらくの間、それも仕方のないことだと思います。
私は、「こんなことが辛かった」「あんなことがイヤだった」と何度も紙に書き出したりしました。それだけでも少しずつ恨みは薄れていきました。
でも、気持ちを書き出すだけだと、なにか足りないような気がするんです。
「私、大変だったな」とは思えるんですが、下手すると自己憐憫の方向に進んでしまいそうな気がする。
「運が悪すぎてもうどうしようもないわ……」みたいな。
そうなると、諦めのような雰囲気になり、足が止まってしまいます。
止まってしまったら、何もかわらない。
結局のところ、自分で歩き出すほかないんですよね。
だからこそ、「人から何をしてもらったか」にも目を向けることが大事なのだと思います。
恨みを消すためには、「今日は人から何をしてもらったか」の日記をつけることである。
五歳児の大人は、自分が相手にしてもらったことはまったく忘れてしまっている。また人からやられたことはいつまでも覚えているが、自分が相手を傷つけたことは意識していない。
引用元:加藤諦三『「大人になりきれない人」の心理』(PHP出版・2008)p.230
た……たしかに。
自身を振り返ってみると、してあげたことばかり覚えていたと思う……(反省)。
「○○してあげたのに、相手は気づいてすらいなかった」とか
「○○してあげたのに、イマイチ喜んでもらえなかった」とか。
そんなのばっかりでしたわ、昔……。
大切なのは、自分が相手にしてあげたことも、相手からしてもらったことも覚えていることである。それで自分というものが分かってくることになる。
引用元:加藤諦三『「大人になりきれない人」の心理』(PHP出版・2008)p.230
たしかに、自分がしてあげたことばかり覚えていて、してもらったことを忘れるって、フェアじゃないですよね(汗)
してもらったことを忘れて「もっとくれ、もっとくれ」と主張したところで、相手は「うわぁ…」と引いてしまうでしょう。
だって、こちらがしてあげたことに気づかない or 忘れている人に、「あんたは何もしてくれない」と言われたらどうでしょう?
というか、これ、うちの母の口癖なんですよ……。
つまり、してもらったことに気づかずに「もっともっと、クレクレ」となるということは、親にやられたような嫌なことを、うっかり他人にやってしまう、ということ。
やばいやばいやばい、危ない危ない。
ということで、「人からしてもらったこと」にきちんと気づいておく、というのは大事だなと改めて思ったのでした。
なさそうに見えても、ある
といっても、「そもそも人から何かしてもらうことがないんだが?」という方もいらっしゃるかも。
たぶん、まだ慣れていないだけで、「今日は人から何をしてもらったか」という視点で一日を振り返ってみると、意外といろいろあるかもしれません。
もちろん、大それたことでなくていいのです。
カフェの店員さんがひとこと話しかけてくれたとか、スーパーのレジで丁寧に会計をしてもらったとか、向かいから来た人が道を譲ってくれた、とか。
最初のうちは「なんだ、こんなことか」と思ってしまうかもしれませんが、してもらったことに気づくクセがつくと、その都度「ありがたいなあ」と思えて心が平和になります。
ただし、あまりにも不満が大きすぎる段階では「焼け石に水」状態だと思うので、根本的な対策(傷つけてきた人と距離をとるなど)をした上での話、ではあると思います。
「不満だからこそ、自分がしてあげたこと(=損失)にばかり目がいく」のですからね。
(関連:不満だからこそ「欠けているもの」に目がいってしまう|感想⑥『「大人になりきれない人」の心理』)
広告- - - - - - - - - -
おわりに
恨みを消すためには「人から何をしてもらったかの日記」をつけるとよい、という話でした。
そういう視線で生きていると、思いのほか、世の中は優しいのだな、ということに気づくかもしれません。
同じ本のほかの記事
親に愛されないと心理的な成長が止まる→深刻な生きづらさに|感想①
愛情不足で育ったことに気づいたらーまずやるとよいこと3つ |感想③
愛情不足で育ったからこそ「心が不自由」であることを自覚して、それに応じた選択をしていく |感想④