Kindle Unlimitedのラインナップを眺めていて気になった本。
星渉『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』KADOKAWA (2018)
「神メンタル」という単語からはややライトな印象を受けるのですが、科学的・心理学的に押さえるべきところは押さえていて、かといって難しくもなく、読みやすいです。
かなり納得感のある本でした。
どんな本?
何事もうまく行かない人の特徴は、「自己評価が低い」ということ。
自己評価が低いと不安が強いので、何かをやろうとした時にやらない理由ばかり探してしまう、そして行動力が落ちる。
実行しないので、結果的に目標を達成できない、というわけです。
だから、何かを達成しようとするときに一つのカギとなるのが「自己評価(=心=メンタル)」。
自己評価を変え、思い通りに生きるにはどうしたらよいか、という具体的な方法を解説している本です。
よかったところ
変えるべきは自己評価
【思い通りに生きる公式】
現実(未来)=①目的地 × ②手段 × ③メンタル
星渉『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』KADOKAWA (2018) Kindle版 位置No.265
まず、「思い通りに生きるための公式がある」と宣言して提示しているところがすごいな、と思いました。
考え方や能力など、人によって様々ですから、一概に「コレ」とは言いづらいものだと思うので。
著者は目標達成のガイドとして、のべ8000人にアドバイスしたとのことなので、その豊富な経験からたどり着いた公式なのでしょう。
この公式にただあてはめれば成功するというわけではなく、いくつか注意するポイントが。
詳細は本書を読みながら、立式していただきたい(書き込み式のシートや、質問などから、各項を明瞭化できる仕様になっています)のですが、簡単にポイントを記しておくと、
「①目的地」の項は
・とにかく明確にすること
・常にここからずれていないか確認すること
・着いたら更新することが大事!!!
「②手段」の項は
・目的地が設定されてこそわかる(後で自動的にわかる)
「③メンタル」の項は
・いくら①と②をきっちり決めても、自己評価が低ければ実行できない
・ふさわしい自己評価をもっていないと、チャンスを察知できない
というわけで、変えるべきは自己評価!
行動力のない私からすると、まさに痛いところをつかれた、という感じです。行動力のなさで、諸々の効率を下げていることを自覚しているので。
行動力が低いことの大元には「不安」があることにも気づいています(先日の記事にも書いたばかり)。
(過去記事)
ここからさらに、「不安」の根元をたどると、「(親に対する)見捨てられ不安」に行き着きました。
「失敗したら親に見捨てられるのではないか」というやつです。
現在はもういい大人ですし、親に見捨てられようが全くかまわない状態(むしろ自ら疎遠)なのですが、いつの間にか対象が親から「周りの人」にシフトしてしまいました。
「周りの人に嫌われたり、引かれたりするのが怖い」というやつ。
この「見捨てられ不安」を別の角度から見ると「自分は見捨てられる可能性があるような、価値のない人間だ」と思っている、ともいえます。
自己評価が低い(どんな自分をも受け入れる、ということを自分自身ができていない)ことは否めません。
「不安」はなくそうとしてもなかなかなくなりません(無理に抑圧したら余計に悪化します)ので、いったん置いておくとして。
低い自己評価のほうを上げられれば、それにともなって不安も軽減する可能性があるのかな、と思いました。
では、低い自己評価を書き換えるにはどうしたらよいのでしょう。
未来の自己評価で生きる
目的を達成した自分だったらどうするか……と未来の自己評価を「体験する」ことが大事なのだそうです。
わかりやすい具体例を挙げるなら、欲しい車があるなら試乗してみるとか、住みたい家があるなら類似の物件などを内見してみるとか。
モノに限らず、何かに躊躇しそうなとき「未来の(何かを達成した)自分だったら、これに挑戦するだろうか」と考えてみるとか。
「一年後の自分」としてインタビューを受ける「インタビューワーク」もおすすめされていました。
「未来の自分」を体験してみると、現在の自分とのギャップに違和感を覚えるようになり、ギャップを埋める方法を自動的に探し、行動するようになるのだそうです。
自己評価には「自己肯定力(どんな自分も好きといえるか)」と「自己効力感(自分ならできると思えるか)が関わっていますが、どちらも上げることができるのが「体験」とのこと。
私は、何かに挑戦しようとするときに、ブレーキを踏みがちなので、「未来の(目標達成した)自分ならどうするか」という視点を試してみようかと。
そういえば、「これを選ばなかったら、死ぬときに後悔するかどうか」ということをたまに考えることがあるのですが、これもまた「未来の自分」を体験しているってことですよね。
ですが、「死ぬとき」だと(平均寿命まで生きるとすれば)だいぶ先で現実感が薄いので、日常のちょっとしたことは「一年後の自分だったら……」くらいがちょうどよさそうです。
機械的に「ラッキー」「ついてる」「ありがとう」
こうしてタイトルにするとちょっと怪しげな雰囲気になりますが、いわゆる神メンタル(心が折れない人)は、どんな出来事もポジティブに反射するらしいです。
「とにかく気持ちの持ちよう!!」「気合い!!」的な、マッスル感が漂ってはきますが、心理学的には「フレーミング」というもので、どんな出来事からも良い面を見いだす、ということです。
どんな出来事も、とりあえず「ラッキー」と反射すると、人間の脳は自分が設定した理由を探す力がある
星渉『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』KADOKAWA (2018) Kindle版 位置No.2037
とのこと。
ネガティブ面や、足りないものにフォーカスするのが大大大得意な私にとっては、機械的に「ラッキー!」はハードルが高いですが、後で落ち着いてからでもいいので「良い面はなかったか」と探すようにしたいと思います。
「足りない足りない足りない……あっちがよかったかもこっちがよかったかも」と思っているだけのときって、すごく辛いですからね。
冷静に考えると、良かった面も意外とあったりするんですよね。
過去にしてきたどんな辛い思いも、今同じような立場にある人の気持ちを理解できるわけですから、全く無駄かというとそういうわけでもないのですよね(だからといって辛い思いはなるべくしたくありませんが)。
おわりに
目標は立てても、なかなか達成できない。
散っていった目標、数知れず。
それにはやはり理由があるのだな、と再認識しました。
本心からやりたいことなのかどうか、とか、自分の現在地をわかっていないとか、暮らしに追われるうちに目標自体を忘れてしまうとか……。
ただの目標で終わらせないためには、本書で解説されているように、真剣に目的地を決めることから始めることがまず大事だなと思いました。
また、目標達成の可否に「自己評価」が関わっている、というのは(うっすら気づいてはいても)改めてハッとさせられましたし、自身を省みてもかなり納得感がありました。
本気で何か成し遂げたいことがある人にはおすすめしたい本です。
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