ししもとの読書ノート

自分らしく生きるために知識をつける

「私このままで大丈夫?」と思っているから振り回される |感想『マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』

振り返ってみると、「いつも誰かに振り回される」人生だったな、と思います。

最初にして最大の難者、母。
思い通りにならないと何時間も怒り狂ったり、無視したりするような人。
子どもにしてみれば、母の機嫌は自らの生命に直結していますので、振り回されるのは避けられませんでした。

そして父。
父は母に比べればだいぶ理性的で、ある程度は話も通じるのでありがたいのですが、母とはことごとく正反対の考え・意見の持ち主。

夫婦仲が険悪で、夫婦で意見を統一することがない(というかできない)。
したがって、母の意見に従えば父は不機嫌だし、父に従えば母が怒り狂う。

つまり、私はただふつうに生きているだけで怒られることが確定していたんです。
あれは行き止まりしかない迷路を歩き続けているような、絶望的な気分でした。

それでも、子供としては、なんとか家庭内を平穏におさめたくて、あっちの機嫌をとり、こっちの機嫌をとり、ということばかりやっていました。


それがいつしか癖になってしまい、人と接するとき、異常に顔色をうかがったり、気を遣ってしまうようになりました。

「そんなに気を遣わなくていいよ」と言ってくれる優しい人もいますが、「こいつ、ビビってるから何言っても言い返してこないな」とつけ込んでくる人もいます。

自分でも、他人に振り回されている感覚は大いににありつつも、でも、どうにもできなくて、長年悩んできました。


原作:大嶋信頼 マンガ:森下えみこ『マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』すばる舎(2018)

マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法

マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法

 

 

 

どんな本?

著者は心理カウンセラーの大嶋信頼氏。
ここ数年でたくさんの本を出版されていて、書店の心理学書コーナーでは必ずといっていいほど著作をよく見かけますよね。

魅力的なタイトルが多く、何冊か読んできたのですが、正直私にはピンとこないな、と思っていたんです。

大嶋氏は「暗示」を用いる手法を得意としておられます。

簡単に言うと、ある困りごとに対して、それに適した「言葉」を唱えることで、困りごとを緩和させる、といったようなイメージでしょうか。

たとえば、不安が生じた時に「〇〇の調和!」と7回唱える、とか。

私はつい「暗示なんかで変わるわけあるまい」と思ってしまうほうで……。
納得しきれずに読むのを途中でやめてしまう、というのを何度か繰り返してきました。


「暗示を唱える」の効力については、いまだに信じ込んでいるわけではないのですが、暗示の部分を除いたとしても、その前段階の、心理を解説している部分は非常に参考になります。
だから、ピンとこないと思いつつも、つい手にとってしまうんですよね。


今回、本書を読んでいて思ったのは、たとえば「自分はダメだ」等の自己否定も、ある意味ネガティブな「暗示」なので、それを止めるために別の「暗示」を使う、というのもわかるような気がしてきました。


また、暗示で「改善する」とまで言われるとなんか胡散臭いですが、暗示を使って「ネガティブな考えを止めることで、本来の自分を引き出そう」という考えらしいので、それならたしかに理解できるような気もしてきています。


本書では、振り回されるシチュエーション、そしてそのときに唱える暗示がマンガ形式で表されています。

「暗示かあ、、、本当かなあ」と思いつつも、スラスラ読めてしまいました。

文章版もある(こっちが先に出版)のですが、「暗示とかピンとこない」タイプの人は、マンガ版がいいかもしれません。

「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法

「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法

  • 作者:大嶋 信頼
  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 単行本
 

 

 

「振り回される」について

「誰かに振り回される」って、具体的にどんなことかということをまず確認しておきます。

・考えると不快なのに、なぜか相手のことを考えるのをやめられない
・「なんであの人は!」と頭の中でずっと考えてしまう
・嫌なことをされているのに、「自分が悪いのかも」と思ってしまう
・相手の期待に応えられるように努力しても報われない……

原作:大嶋信頼 マンガ:森下えみこ『マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』すばる舎(2018)Kindle版 P.4


私、完全に全てあてはまりました……。

冒頭で心の動きをここまで言い当てられると、続きを読まざるを得ない。


振り回される原因のひとつ:相手の言葉を真に受けてしまうから

相手がポロっと出した一言が、むちゃくちゃ気になるってこと、ありますよね。

特に、普段あまり本音を言わない感じの人が言ったことだと、「ものすごい重大な意味がありそう」と思ってしまって。

どういう意味で言ったのかな?
言葉通り?
いや、何か意図がある?
どういう表情してた?
もしかして私のこと、嫌ってる?
だとしたら、ずっと本音隠してたのかな?

などと、後になってもぐるぐる考えてしまいます。


また、明らかに悪意が感じ取れるような言葉も、それはそれでグッサリきてしまいますよね。

私の母の決まり文句が「今に見てなさい。そのうちバチが当たるんだから」だったのですが、「神仏でも魔法使いでもないのにそんなわけあるまい」と思いつつも、本当に何らかの呪いをかけられたような、グッタリした気持ちになるのでした。

グッタリすると、気力が削がれて、身動きがとれなくなるんですよね……。
実質的に、呪いをかけられたようなものでした。
そう考えると、言葉って、想像以上の力を持っています。


こんなふうに、ぐるぐる考えたり、グッタリしてしまうのは、「相手の言葉を真に受けているから」と著者はいいます。


相手の言葉に重きを置きすぎているというか、そこにネガティブな解釈を付け加えてしまうんですよね。

すると、焦って余計に相手の機嫌をとってしまったりして、上下関係(振り回す・振り回される)ができてしまう、というわけ。


じゃあ他人の言葉を真に受けなければいいじゃないか、ということになるのですが、これがまた、とても難しい!!
真に受けるのが癖になっていると、ほぼ反射的に反応してしまいますから。


そこで、本書で提案されているのが、相手の言葉をぐるぐる考えそうになったときに「暗示(※)」を唱えること。

暗示を唱えて不安や恐怖を取り除くことで、ネガティブスパイラルを止めて、ちょっと冷静になる(本来の自分に戻る)、といった感じでしょうか。

(※)具体的な「暗示」の言葉については、本書のキモとなる部分でもありますので、引用は控えます。
知りたい方はぜひ本書をお手に取ってみてください。


ネガティブな考えがぐるぐるしそうになったときに、ちょっと試してみたのですが、たしかに「(いい意味で)一旦思考が止まる」ような感覚はありました。
「はっ!」と我に返る、みたいな。

なかなか実感できずにいた「人は人、自分は自分」の感覚がちょっとわかるというか。


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他人の思考や感情が入ってきてしまっている

比較なんかしたくないのに、つい他人と比較してしまう、というのもよくある困りごとではないでしょうか。

私自身も、「〇〇でないと一人前じゃない」とか「〇〇な人はかわいそう」とか「~しておかないと将来困る」といった、いわゆる「世間の(比較的メジャーな)価値観」に触れて、「うっ」となるというか、モヤモヤすることが多々あります。

今の自分のの生き方に心の底から納得していますし、他の生き方をせよと言われてもできない(したくない)と重々わかっているのに、です。


他人の思考や感情が入ってきてしまって、それが自分の心の中を荒らしていくような感覚です。
心の中を台風が通り抜けていく感じ、というか。
台風が去ったあとは、いろんなものがなぎ倒されていて、修復に時間がかかる、みたいな。


著者によれば、他人の思考や不安や緊張って、ミラーニューロン(共感性の神経)を介して、流れ込んできてしまうものらしいです。

「流れ込んでくる」と表現すると、胡散臭く感じるかもしれませんが、たとえば、誰かが緊張しているのを見て、緊張がうつってしまったことはないでしょうか?

あるいは、具合の悪い人が一人でたら、集団パニックになって次々と倒れて……みたいな話もたまに聞きますよね。

もっと身近なところでいうと、あくびもうつりますし。
もらい泣きもありますね。

そう考えると、確かに、他人の思考や感情って、想像以上に伝わってきているのだろうと思います。

共感能力には個人差があるので、全く伝わってこない、という人もいるでしょうが、少なくとも「人に振り回される」タイプの人は、感じとりやすいのでしょう。


(参考記事)
HSP(とても敏感な人)はミラーニューロンが発達している、という説もあります。

www.shishimoto-yuima.work

 

他人の感情や思考が入ってくると、それに邪魔されて、本来の自分でいられなくなってしまうのが困りますよね。

自分が自分であるために、「私は私、相手は相手」という適切な壁が必要です。
この壁がないと、他人の感覚が次から次へと流れ込んできます。

原作:大嶋信頼 マンガ:森下えみこ『マンガでわかる「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』すばる舎(2018)Kindle版 P.71


この「適切な壁」、本来は赤ちゃんのときに作られるはずなのですが、適切なタイミングで抱きしめてもらえなかったりすると、うまく形成されないのだそうです。

適切なタイミングで抱きしめてもらえないと、不安が強まるので、常に「私、このままで大丈夫?」といった気持ちになり、他人の視点で自分を観ようとするのだとか。


これ、すごくわかるんです。
「私、生きてていい……よね?」みたいな。
いちいち確認したい、みたいな。

何かうまくいっているとか、調子が良いときは大丈夫なんです。
でも、人生がうまくいかないときなどは特に、誰かに確認したいような気になる。

「あなたは生きていていいよ」と言ってほしいわけですから、そりゃあ他人の思考やら感情に敏感にならざるを得ないですよね。

私の場合は、他人の思考や感情を取り入れ、他人が「良い」と思っていることをやり、
「ほら、私、あなたが良いって言ってたからやってみたよ(だから、肯定して)」
ということだったのではないかと思います。

結局のところ、自己肯定感が育っておらず、自分という存在が心もとないので、他人に肯定してもらおうとしていたんでしょうね……(反省)。


さて、このように分析できたとしても、実際の人間関係において、他人の思考や考えが流れ込んでくるのを止められなければ、現実的にはつらいですよね。


そこで、大事になるのが、他人からの悪い情報をシャットアウトするために「暗示(※)」の言葉を唱える、ということ。

たとえば、噂などで他人がうまくいっていると耳にしたとき、「それに比べて自分は……」などと始まりそうになったら、ストップをかけて、我に返る感じですかね。

(※)暗示の言葉については本書をご覧ください。




おわりに

暗示とか、いまいちピンとこない、とずっと思ってきた私。

ですが、この記事を書いていて、ネガティブなほうの暗示(母からの「バチがあたるよ」とか)はバッチリかかっていることに気づきました。

だとすると、それらの悪影響を断つような暗示もまた、有効なのかも、と今は思い始めています。

大嶋氏の他の本も含めて想像するに、著者のおすすめする「暗示の言葉」をそのまま一言一句唱えなければいけないわけではなくて、(本来の自分に戻れるような)自分にあった言葉を自分で見つけてそれを唱える、というのでも良いみたいです。

しばらく試行錯誤してみようかと思っています。


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