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息子よりも「母と娘の関係」がこじれがちなのはなぜ? - (3)娘を支配していることに気づかない

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私自身の経験からも、また周囲を見回しても、「息子よりも、母と娘の関係のほうがこじれがち」と感じます。

その理由として、①  同性の先輩ゆえの上から目線、ひと昔前の価値観おしつけ、➁ 息子のことは尊敬するのに、娘は罪悪感を利用して支配

を挙げてきました。

引き続き同書を参考に、3つ目の理由を考えていきます。

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息子を利用している自覚はあるのに娘を支配していることには気づかない

息子の利用については、弱者であるからこそ、母は自覚的である。庇護やケアを引き出さなければならないからだ。しかし、娘に対しては、彼女たちは自覚的だとは思えない。

信田さよ子『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』春秋社(2008)P.48


前記事 で書いたように、重い母たちは、息子に対しては「弱者アピールによって何かしてもらう」という戦略をとるようになります。

「何かしてもらおう」という魂胆が明確なので、「息子の”弱きものを守る精神”を利用しているな」という自覚はあるわけですね。

だから、「これ以上やると機嫌を損ねるぞ」みたいな線引きも心得ているのでしょう。

一方で、娘に対しては、驚くほどの無神経さを露呈することになります。

娘の利用については無自覚

いらんアドバイスをしたり、ひと昔前の価値観を押し付けたり、「お母さんはこんなに大変だった」と娘の罪悪感を刺激してコントロールしたり。

娘側からするとうんざりな言動ですが、でもこれ、母本人は、まっっったく気づいていないんですよね(だからこそ「重い母」になってしまうのですが)。

むしろすべての言動を「娘のため」にやっていると本気で思い込んでいる。「娘が失敗しないようにアドバイスしてやっている」と。

確かに「経験に基づくアドバイス」が役に立つ場面もゼロではないでしょう。
しかし、この「あんたのためを思って」のアドバイスはだいたい的外れで、かつ、しつこい。

ただの「アドバイス」であれば、あくまでも助言(情報)ですから、従ってもいいし、「ふうん」で終わってもいいわけです。

けれども、重い母というのは、娘が「ふうん」で済ますと気に入らないのですね。
従うまで、とにかくしつこい。
従うまで言ってくるということはつまり、コントロールなわけです。

そもそも厄介なのが、子どもの頃は”しつけ”だと主張できるので、強制力を伴ってしまうことですよね。
パワーバランス上、現実的に「子のほうが根負け」せざるを得ないことも多い。

だから、どこかの過程で強く反発しない限り、母と娘の関係においては「いつも娘が折れる」形式が確立してしまいます。

(※)反抗期にきちんと反抗できればいいのですが、「重い母」は反抗期自体を許さない・力でねじふせることも多いです。

けれども、母としては「娘のためにやっている」と思い込んでいるので、それが全く悪いことだとは微塵も思っていないのですよね。
結果、娘ばかりがストレスを溜めることになります。

娘が耐えられるうちは、「聞き分けの良い娘」「いい子」で済まされて表面上は平和なのかもしれません。

けれども、娘だって意志を持った一人の人間。
長年、「母の思い通り」に動かされていれば(しかも、真面目に従っていればいるほど)、いつか爆発するときがきます。

娘のほうは長年、「意志を封じ込めてきた」「支配されてきた」「母は私のことをいつも否定してきた」と恨みつらみが溜まりまくっていますので、それだけ怒りも巨大となります。

その一方で、「重い母」は、娘が爆発してもなお、「なぜ娘がそんなに怒っているのかわからない」。支配してきたことに無自だから。
むしろ「いろいろやってやったのに」ですから。

母からすれば「自分(母)は正しい」ので、「娘がおかしくなった」と慌て、娘の友人や配偶者のせいだと思い込んで攻撃したり、親族を巻き込んで娘を説得しようとしてきたりもします。

私も小学生の頃、母に親戚中に「娘がおかしくなった」と電話をかけまくる”公開処刑”のようなことをされて、絶望した覚えがあります。


そういった母の態度を見て、「この人(母)と分かり合えることは絶対にない」と確信するので、元の関係に戻るのは非常に難しいわけです。

周囲から見たら「いきなり疎遠にするなんて……」「何をそんなに怒っているのか」などとなるでしょうけど、娘のほうには「疎遠にせざるを得ないほどの恨みつらみが溜まっている」状態なのですよね。

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本記事まとめ

母と息子よりも母娘関係がこじれやすい理由3つ目は、「娘を支配していることに無自覚」ということでした。
無自覚だからこそ、娘が怒っても、全くピンとこないわけです。

その様子を見て娘はさらに「この先分かり合えることはない」と絶望するので、母娘関係は一旦こじれると修復しにくいのだと思います。

一方で息子に対しては、「弱さアピールと引き換えに何かをやってもらっている」という自覚があるので、ある程度の線引きができるようです。

以前の記事でも書きましたが、結局、娘とは心理的な距離が近すぎる(娘を別の人間と認識できていない)ことが原因なのだろうと感じます。

参考文献

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

 
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・その2:息子のことは尊敬するのに、娘の罪悪感を利用して支配する