親の呪いから卒業するための読書メモ

アダルトチルドレン当事者が読んできた本の感想を紹介しています

罪悪感は「母の分身」みたいなもの→怖いけれど実態はない

 

私の母は「あんたのため」「あんたが苦労しないように」「あんたを想っているからこそ」を振りかざして、私を思い通りに動かしてきました。

「イヤだけど……お母さんは私のために言ってくれているのだし…言う通りにしないとダメかな」と何千回思ったかわかりません。

諦めのような徒労感のあと、何倍もの勢いで湧いてくるのが「罪悪感」でした。

母のことばにかすかな違和感を感じたり嫌悪感を抱くたびに、まるで倍返しのように罪悪感が沸いてきてあなたたちを苦しめただろう。
信田さよ子『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』P.169

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何も悪いことをしていないのに……なぜ罪悪感があるのか

「あんなに寂しそうでひとりぼっちの母親に対して怒りの感情を抱くなんて、やっぱり私がわがままだったんじゃないだろうか」
「私が母を捨ててしまえば、母はどうなってしまうんだろう。本当は私のことを思っていてくれたんじゃないだろうか」

信田さよ子『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』P.169


ほんとこれ。

私自身も、「仮にも育ててくれた人にこんなにも強い怒りを抱くなんて、私はどうかしているのではないか」「悪気はなかったのだろうから、こんなに悪く思ったら可哀想ではないか」と強い罪悪感を覚えていました。

ほぼ罪悪感との戦いだったといっても過言ではありません。

法にふれるような罪を犯したわけでもないのに、なぜここまで罪悪感を持ってしまうのか。

罪悪感の正体 - そもそも母が植え付けたもの

私には「親を大事にすべき」という価値観がこびりついていたがために、「親を大事にできない私はダメだ」と、自分で自分を裁いてしまっていました。

でもこの「親を大事にすべき」ってどこから来たのでしょう。

これは母が常々あなたたちに言って聞かせたことの内面化であり、世間という常識の総体があなたたちに強いてきた認知そのものなのだ。
信田さよ子『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』P.172


そう、主に「母から」なんですよね。

ある意味、母(+世間)の分身というか。
実態はないとわかっているのにゾッとしてしまう幽霊みたいなものというか。

暗い場所で「幽霊がいる」と思えば怖くてたまらないですが、実態は何もない。灯りをつければ「なーんだ」とホッとするやつ。

罪悪感は必要経費?

著者によれば、「罪悪感をゼロにしようとするのは現実的に無理なので、「必要経費」と考えてみてはどうか」とのこと。

ケチな私は必要経費すら払いたくないと思ってしまいましたが……(実際にはもう何年も、経費払い続けてきましたけど)。

そんな私の経験から申し上げますと、大丈夫、罪悪感もいつかは薄れてきます。

自分の選択を自分で納得できるかどうか

私の場合、罪悪感が薄れた一つのポイントは「私が自分の人生を生きるにはこの選択肢(母と絶縁)しかなかった」と心の底から納得したからだと思います。

親子関係の本を大量に読んでいると、だいたいどの本にも「どうしようもなければ離れていい」と書いてありました。見事にどの本にも、です。

あまりにもそう書いてあるので、少しずつ「これでいいんだ」と思えるようになりました(ただ、すごく時間はかかりました)。

親子関係の本でなくても、世の中の価値感に囚われずに生きている人の本などから「えっ、こんな生き方もアリなの? だったら私もちょっとくらい好きに生きてもいいかな」と感じたりもしました。

私にとっては、「様々な価値観に触れる」ということが大事だったのだろうと思います。毒親は、支配しやすいように子どもの人間関係を制限したがるので、子は視野狭窄になりやすいんですよね。
その狭窄を緩める感じ。

本だと時間がかかりますし、ピンとこないという方は「ACの自助グループ」に参加してみたり、「カウンセリング」もよいと思います(『母が重くてたまらない』でもおすすめされていました)。

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本記事のまとめ

・罪悪感の大元を辿ると、それを刷り込んだのは母(や世間)
・自分の選択に納得できるようになると、罪悪感も薄れてくる

 

(2021年に執筆した記事ですが、ブログ再構築にともない、加筆修正の上再更新しています)

参考文献
母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き

母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き

 
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