岡田尊司氏の母という病を読みながら、学び、感想をまとめ、今後の生きる力にしていきます。
本記事のポイント
わざわざ生んだ子を傷つけてしまうのは母自身も問題を抱えているから。
前回の記事では不安定型母の特徴を整理しました。
本記事では「自分しか愛せない」自己愛型の母について学びます。
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自己愛型母の特徴
自分のほうが大事
自己愛的な母親は、いつまでも、自分が輝いていたい。わが子といえども、自分の若さや可能性を食い潰しているように思えてくる。わが子といえども、自分が輝くのを邪魔されると許せないと感じる。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.165
私の母はなにもかもが面倒くさいタイプの人だったので、「輝いていたい」みたいな前向きな気持ちはなさそうでしたが、「とにかく自分(母)の保身のためなら子も犠牲にする」とか「ほめられたいがために子を利用する」みたいな面は大いにありました。
子育てが嫌い
自己愛的な母親の最大の特徴は、子育てが嫌いだということだ。子どもは好きじゃないと正直に言う人もいれば、体裁を憚って、もっともらしいことを言う人もいるが、いざ世話が必要な段になると、自分が手を汚すことを面倒がってしまう。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.167
もし産んでいたら私もこれなので、ちょっと耳が痛い。
私としては「自分自身が愛情をかけてもらっていないのに、(実の子とはいえ)他人にやってたまるか」という感覚なんですよね……。
こうして書くと「うわあ…」と己の人間性にひいてしまうんですが。
関連:〈AC回顧録・20代後半〉「どうしても子どもを持つのは無理だ」と思った日のこと
自分を客観視できない
いくら母の側にも事情があるとはいえ、子どもからすれば唯一無二の存在。
自分の都合は切り離し、子どもの立場から考える必要がありますが、そういったことが苦手なのも自己愛型母の特徴。
自分を顧みることも、人の気持ちを顧みることも、根もとでつながっている。
顧みる力が弱いと、自分に問題があることさえ気づかない。子どもにこちらの都合を押し付け、子どもが嫌がっているのに、自分では良いことをしていると思っている。岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.173
簡単に言ってしまえば、「人の気持ちがわからない」というやつですよね。
なので「お母さん、あれはイヤだからやめてほしい」と仮に勇気を出して言ってみても、ポカンとしていたり、「そんなこと言うなんてあんたはおかしい!」と猛烈に怒りだしたりする。
これはまあ毒親全般のあるあるで、発達障害などが絡んでいるケースも多いのかもしれません。
気に入った子どもしかかわいがらない
自己愛的な母親にみられやすい、もう一つの大きな特徴は、自分の気に入った子どもはすごく可愛がるが、好みと違っていると、自分の子供であってさえも、関心がなくなるということだ。同じ自分の子であっても、平気で、依怙贔屓をしてしまう。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.181
私は一人っ子なので兄弟差別のような体験はありませんでしたが、兄 or 弟のいる女性の話によると「うちの母はお兄ちゃん(弟)ばかりかわいがった」という話は非常によく聞きます。
その結果、母と娘はこじれがちだけど、母と息子はそうでもないという現象が見られがち。
(別の本(『母が重くてたまらない』)の感想ですが、関連の記事です)
息子よりも「母と娘の関係」がこじれがちなのはなぜ?- (1)同性の先輩ゆえの上から目線
兄や弟に限らず、「勉強ができるお姉ちゃんばかりが」「愛嬌のある妹ばかりが」などもよく聞きますね。
親子とはいえ、相性の問題もあるのが現実かもしれませんが、だからといって露骨に差をつけられたり、「お兄ちゃんは○○だったのに」などと常に比較されていては、たまったもんじゃありません……。
そりゃ、「私ってなんなの?」と生きていることの意味が揺らいでしまいます。
際限なく甘やかすタイプもいる
上で挙げたパターンとは少し方向が異なりますが、甘やかしてダメにしてまうタイプの母もいます。
自分自身が自立していない母親は、自分の人生を主体的に生きるこということができないため、思い通りになる子どもを際限なく甘やかすことで、ある種の代理的満足を得ようとするのだ。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.186
具体的に言うと、「ねだられたらすべて買ってしまう」「食べたがったらなんでも食べさせてしまう」系のやつです。
食べたがるからといって際限なく与えていると、病気などのリスクもあるのに、そういった長期的な視野を持てない。
目の前のことにしか考えが及ばないタイプです。
たまに有名人の子どもさんとかで、若い頃から毎月数十万も小遣いをもらっていて、悪いことに手をだしてしまうパターンをニュースでみますが、もしかするとこのような背景があるのかもしれません。
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おわりに
自己愛型母の特徴をまとめると
・自分のほうが子よりも輝いていたい
・子育てが嫌い
・自分を振り返る力が弱い
・気に入った子だけかわいがる
・際限なく甘やかすパターンもある
こうして並べると「うわあ……」と思いますが、私自身もヒヤッとした部分もありました。
(自覚があるので子を持ちませんでしたが)万が一子を生んでいたら「自分の夢のほうが大事」タイプになっていただろうと思うからです(汗)
もちろん、頭で考えてコントロールしようとするとは思いますが、ふとしたときにポロっと出てしまうものですからね。
私の知人にも似たような感じの女性がけっこういるのですが、彼女たちを見ていると、共感と同族嫌悪が混じったような複雑な気持ちにもなってしまいます。
そんな彼女たちもまた「うちの財産はぜんぶお兄ちゃんのためのものだからあんたは自分でなんとかしてねと言われながら育った」「弟ばかりかわいがった」「母の仕事が忙しくて完全放置だった」などなど、自己愛型のお母さんに育てられたエピソードがてんこ盛りです。
本当に連鎖するものだなあ、となんだかやるせない思いがします……
それほどまでに、子育てというのは難しくて大変な仕事なのに、長年軽んじられてきた社会構造(女性ばかりが押し付けられてきた&何かあると「お前の育て方が悪い」と言われたりする)にも問題があったのだと思います。
もちろん、「自分はああはならないぞ」と修正していける人もいますので、そのような方にはより敬意を表したいですね。
参考文献
※本記事に記載のページ数は単行本のものです。リンクがなかったため、新書版のリンクを貼っています。
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