岡田尊司氏の母という病を読みながら、学び、感想をまとめ、今後の生きる力にしていきます。
本記事のポイント
・「母という病」に苦しんでいる人には共通している症状がある
→青年期の挫折、神経質な性格、精神疾患など
→母親との関係が不安定だったことによって、オキシトシンの働きが弱いことが影響している
広告- - - - - - - - - -
”母という病”の症状
青年期に挫折しやすい
「いい子」として家庭や学校に適応し、「もう高校生、ほぼ大人だし、親の影響も少なくなるだろう」とホッとしたのもつかの間。
じわじわと毒が全身にまわり始めたのもまた、この頃でした。
でも、当時は母の影響だなんてわからなかった。
「行きたい高校にも入れたし、友達にも恵まれたし、どうしてこんなにわけのわからない焦りに襲われているのだろう」と。
けれども、思春期の挫折は「母という病」を抱えた人におおよそ共通の事項だったのです。
母親との愛着の絆が不安定な人では、青年期に迷いやすく、アイデンティティの確立や自立に苦労する。それまで優等生だったのに、青年期に入ると、成績も悪化しやすいということも知られている。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.103
なぜかというと、安全基地を持たないがゆえ、目の前の安易な賞賛などに目がくらみ、ことごとく選択を誤ってしまいがちだから。
うつ、不安障害、摂食障害も…母との関係が影響
私の場合は、「学業成績さえよければ、親も認めてくれて、安心して生きていけるようになるはず」と思い込んでいた。
つまり安全基地は「勉強ができる自分であること」でした。
でも実は、私自身はそこまで勉強が好きなわけでもなかった。
だからいつも「勉強したくない、でも、しなきゃ」と葛藤していました。
その結果、「勉強版イップス」的な状態に陥り、大学受験ほぼ全敗、しかしそれでもなお「学歴=安全基地」にすがり続けて浪人までしてしまいます。
「成績が悪い=安全でない=危険」なので、成績が悪いことが恥ずかしくて死にそうで鬱状態になり、とうとう予備校にも行けなくなりました。
とき同じくして、皮膚むしり症が再発(※強迫性障害の一種とされる)。
それでも母は、助けてくれるどころか、「嫁に行けなくなるから精神科に行くのは許さない」と保険証を隠すような人。
「困っているときほど追い詰めてくる」ということを実感し(子どもの頃にも、体調が悪いときほど追い詰められた経験あり)、力づくにでも人生をよくするしかないのだと思うようになりました。
そうして20歳ころからは強迫的な努力をするようになりました。
いわゆる「いい会社」に入社できたものの、その時点ですでに無理を重ねているので、不潔恐怖・疾病恐怖(不安障害の一種)、食べること自体が怖い(軽い拒食)に本格的に悩むようになります。
こうした、うつ、摂食障害、不安障害などには、母親との関係が影響していると著者は言います。
ストレスにもともと敏感なうえに、周囲に気を遣い、認めてもらおうと無理をするので、心身ともに病気にかかりやすい。ことにストレス性の疾患や精神的な疾患のリスクは大幅に高くなる。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.104
不安障害も、母親との関係が不安定なことが、一つのリスク要因となる。一歳の段階で母親との愛着が不安定だった人では、十七歳の時点で不安障害を認めるリスクが、安定していた人の三・七倍だという。特に、母親に素直に甘えることができない両価型と呼ばれるタイプの人が不安障害になりやすい。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.128
その他、文字数の都合で割愛していますが、双極性障害などの発症にも影響しているそうです。
「子どもをもちたくない」もあるある
同僚や同級生など、周囲の人たちが家庭をもって子どもを持ち始めると、こんどは「子どもを持ちたいと思えない問題」に悩むようになりました。
〈AC回顧録・20代後半〉「どうしても子どもを持つのは無理だ」と思った日のこと
恋愛や結婚の問題もさることながら、さらに子育ての問題となると、母という病を抱えた人は困難や支障を抱えやすい。ある意味、子育てにおいては、もっとも自分の弱く、未解決な部分と向き合わねばならないからだ。
子どもをもつことに怖れや拒否する気持ちを抱くという場合もあるし、何かのはずみで子どもをもってみたものの、子どもを愛することに困難を感じるという場合もある。岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.105、106
オキシトシンの欠乏が影響
親の日々の態度によって、経験的に人を信じられなくなるという面ももちろんありましたが、そもそもは赤ちゃんのころにさかのぼります。
しっかりと世話をしてもらえないと、オキシトシンの分泌や受容体が少なくなる(=働きが弱い)。
その結果、こんな性格に。
オキシトシン・プアな人では、対人関係を楽しむことができず、知らずしらず親密な関係を避け、孤立や孤独に陥りやすい。不安が強いだけでなく、神経質で潔癖になりやすく、細かい点にこだわり、他人の欠点や嫌いなところばかりが気になり、許せないと感じる。そうした不寛容さも、オキシトシンの働きが弱い人にみられやすい特徴だ。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.110
お恥ずかしながら……これ↑完全に私のことなんですよ……。
親密な関係を避ける、不安、潔癖、細かい、不寛容。
完全コンプリートしているんです(恥)
親や親戚から「まったくあんたは神経質なんだから!」と批判されてきましたし、遺伝子的にそういう性格で、私が悪いのだと思ってきました。
もちろん遺伝子的な素養はあってのことでしょうけど、育てられ方によってオキシトシンの働きに影響し、悪い方につよく出る/出ないがあるわけなんですね。
オキシトシンの働きの特徴は、生まれてからの養育によって、大きく左右されることだ。人に親しみを感じるとか、不安が強いとか、潔癖であるといった、あたかも生まれもった特性のようにみなされている傾向も、実は、幼い頃の母親とのかかわりの中で身につく部分が少なくない。
岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.109
「あたかも生まれもった特性のようにみなされている傾向も、実は、幼い頃の母親とのかかわりの中で身につく部分が少なくない。」
→これ、知ってもらいたいですね…。
神経質とか潔癖とか細かいのって、やはり周囲からは歓迎されないので、改善しようとはするのですが、どうしてもストレスのかかり具合で増減したり、限界があります。
「私だってこんなふうになりたくなかったよー(泣)」とよく思いますが、改善できる部分は改善しつつ、養育環境など、仕方なかった部分もあるのですから、あまり自分を責めすぎないようにしたいです。
おわりに
不安障害などと戦いながら、「どうしてわたし、こんなふうになっちゃったんだろう」と幾度となく思ってきましたが……、答えがでました。
養育環境の影響で、オキシトシンの働きが悪いんですね。
それは赤ちゃんだった自分ではどうしようもなかったので、自分を責めるのはやめようと思います。
まとめ
・「母という病」に苦しんでいる人には共通している症状がある
→青年期の挫折、神経質な性格、精神疾患など
→母親との関係が不安定だったことによって、オキシトシンの働きが弱いことが影響している
参考文献
※本記事で参照した書籍は単行本のほうなのですが、リンクがなかったので新書版のリンクを貼っています。