親の呪いを解いて自分の人生を生きる

アダルトチルドレン回復の記録

幼いころに受けた心の傷は脳の構造自体にも影響する|『母という病』①

📗📕📘

 

岡田尊司氏の母という病を読みながら、学び、感想をまとめ、今後の生きる力にしていきます。

本記事のポイント

・幼い頃に愛情をかけられないと、オキシトシンの働きが鈍る
 →その結果、不安やストレスを感じやすい体質に
 →愛情不足は脳の構造自体にも影響
 

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「いい歳して、、、」問題

親との関係に悩んできた人が周囲からかけられる、悩ましい言葉。
「まあ、昔は大変だったのかもしれないけど、いまはもう大人なんだからさ、関係ないよ」
というやつ。

これくらいならまだいいほうで、
「いい歳して何言ってんの?」
「まだ親と喧嘩してんの?w」
あたりもよくありますよね。

「今はもういい大人なんだから関係ない」は、確かにそれはそう(正論)なんです。

でも、そんな割り切れるものでもないんですよ……

かといって、うまく説明もできないし、説明できたところでこれまた理解されないことが多い。
だから、苦笑いしつつ口をつぐむしかない。

そうしてその場をやりすごしても、その後一人になってから、猛烈な怒りとか、やるせなさとかに襲われてしまう。

そして、無神経なことを言ってきた人のことを恨んでしまう。
「あいつがあんなこと言ったせいで、何も手につかなくなったじゃないか」と。

同時に、ずっと疑問でもあったんです。
「たしかに今は大人で、一人で生きていけるのだから、親にとらわれなくてもいいはず……なのに、どうしてこんなにとらわれてしまうのか」と。

その解が本書に書いてありました。

幼い頃に受けた心の傷が、無意識のうちにその人の行動を左右するというだけではない。もっと根本的なレベルで、言うなればその人の脳の構造自体を、半永久的に変えてしまうという意味なのだ。

岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.70

そうそう、当事者としてわかるし、似たような(あるいはもっと劣悪な)環境で育ってきて苦しんでいる人を見ていてもそう思うのです。
「脳がやられている」というか、神経伝達物質の出が悪い感じなのです。

なぜそこまで人生に影響してしまうのかというと、オキシトシン不足

オキシトシンの分泌やオキシトシンと結びつく受容体の数を左右するのは、幼い頃にどれくらい愛情深く世話されたかなのだ。

岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.70

 

そもそも前提として、かなりの自己犠牲を伴う出産や育児、なぜこれができてしまうのかというと、オキシトシンというホルモンのおかげ。

ですが、その分泌が弱い母親だと、子どもの世話が苦痛なわけですね。
その結果、愛情をかけられなかった子どももまた、オキシトシンの働きが悪くなりやすい。
まさに連鎖している……。

幼い頃に、よく可愛がられ、世話をされた子どもでは、オキシトシンだけでなく、セロトニンなど、不安をコントロールする働きをもった神経伝達物質の受容体が増える。その結果、母親との愛着が安定したものとしてしっかりと結ばれるとともに、不安やストレスを感じにくい体質を授けられることになる。

岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.74


とくに1歳半までが大事らしいのですが、産後の母体の回復や周囲の協力などの問題もあるし、たしかに女性全員がうまくやれるわけじゃないよなあ、とも思います。

脳が形成される時期に愛着もまた形成される。その時期に安定した愛着の絆が育まれないと、母親との関係は永久に不安定なものとなりやすい。心の中では理想化して求めつつも、だが現実の存在と向かい合うと、生理的な違和感さえ覚えてしまう。自分の遺伝的な母親だとしても、育てられなかったことによって、体が母親としては受け入れようとしないのだ。

岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.79


これもむちゃくちゃわかる!!!

私自身も、母に認められたい・愛されたいと渇望しつつも、なぜか「生理的に受け付けない」という、なぞの気持ち悪さみたいなのがずっとありました。

10代のころは「思春期のせいかな」と思っていたのですが、年齢を重ねるほどにどんどんひどくなっていきました。
よくよく振り返ってみると、幼稚園児の頃すでになんとなく「うっすらイヤ」みたいなのがあった気がします。

遺伝子タイプによって影響を受けやすい/受けにくいがある

周囲にかけられる言葉のうち、もう一つ辛いのが、大成した偉人や有名人を引き合いに出し、
「○○さんを見てごらんよ、養父母に育てられたけど、あんなに立派じゃないか。要は本人次第ってことだよ」みたいな主張。

これもまた、「たしかにそれはそうなんだけど……」系の、言い返しづらい正論ですよね。

ですが、ちゃんと理由がありました。

不安の強い遺伝子タイプをもつかもたないかによって、愛情不足に敏感なタイプと平気なタイプの違いが生れる。前者は、親の影響を引きずりやすく、後者は、どんな育てられ方をしようとあまり関係ない幸運な人だ。

岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.93

 

特に日本などのアジア圏では、不安遺伝子を持っている人が多いので、影響を受けないほうが少数派。

少しくらい愛情不足な環境で育っても、あまり関係なく育つ人も、三分の一くらいはいるが、三分の二の人は、影響を受けやすく、中でも三分の一の人は、かなり敏感なのだ。
その頃味わった不安が心に染みつくというよりも、脳の発達自体を変えてしまうことで、その後の人間関係やストレスの感じ方にも影響することになる。

岡田尊司『母という病』ポプラ社(2012)P.93

 

「○○さんは乗り越えてるんだから」と言われても、そもそもの気質や能力だって違うのだから、「だからおまえも気にするな」というのはちょっとなあ、と思います。

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おわりに

・幼い頃に愛情をかけられないと、オキシトシンの働きが鈍る
 →その結果、不安やストレスを感じやすい体質に
・不安遺伝子を持っていると、より顕著に影響を受ける
・愛情不足は脳の構造自体にも影響
 →その人の行動をも左右してしまう

もちろん両親の不仲を見てきたことなどもありますが、オキシトシンの働きが鈍った結果、私は子どもを持ちたいと一切思えなかったのだと、合点がいきました。

若い頃は「私は異常者なのだ」と自分を責めてきたけれど、仕方がなかったんだなあ、と思います。