親の呪いを解いて自分の人生を生きる

10年かかったけどなんとか回復してきた

〈AC回顧録・高校生〉勉強を手放したいのに、勉強に執着して「イップス」的な状態に


過去の痛みを成仏させるため、自分の育った家庭を改めて客観視する作業をしています。(関連記事一覧はこちら>>>【もくじ】いかにして私はアダルトチルドレンになっていったのか【体験談】)。


高校生になっても「頭がいい」というアイデンティティにこだわってしまい、かといって勉強する気力がすでになく。

どんなに勉強しようとしても、問題文の内容が頭に入ってこないという「勉強版イップス」のような状況に陥りました。

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ほんとうは、もう勉強したくなかった

進学校に入るためだけに生きていた、と言っても過言ではない中学時代。

希望の高校に入れて、しばらくは楽しい時間でした(10代で唯一楽しかった2年弱)。

授業さえマジメに受けておけばいいや、と勉強は最低限しかせず、友人との時間を楽しんだり、部活に没頭したりしていました。

私にとっては「これまでの人生を犠牲にしてやっと手にいれた結果なのだから、高校生活を存分に楽しみたい(これまでの辛い思いを取り返したい)」という気持ちが強かったのです。

しかしそこは進学校、大学受験を視野に入れ、早い段階からコツコツと積み重ねている人がたくさんいました。

高3にもなれば、どんなにのんびりしたクラスメイトも、どんどんスイッチが入っていきます。

でも、どうしても私の心が拒否するのです。

えー、もう、勉強したくない。
いままでさんざん頑張ってきたのだから、もう勉強から卒業したい。

これが本音でした。

かといって、高卒で就職する勇気も自信も気力も、私には皆無でした。

働けるほどの社会的能力がないこともわかっていましたし、ねじまがったプライドが「せっかく〇〇高校に行ったのに就職しちゃったの?」と誰かに言われることを許せなかったのです。

「もう勉強したくない」くせに、「いい大学に入って認められたい」という気持ちは異常に強かったのです。

勉強しているつもりでグダグダしていただけだった

心で思っている「もう勉強したくない」と、頭で考えている「でも勉強しなきゃ」。

逆の方向の矢印どうしが綱引きをしている状態でした。

綱引きにエネルギーを奪われているので、自分としては「頑張っている」感じがするのです、とても。

相反する気持ち


でも。
同じ大きさの右のベクトルと左のベクトルって、合成するとゼロなのです。
つまり、勉強しているようで、何もしていなかったのです。

机について、問題集を開いてはいました。
でも、問題文を読み始めた瞬間に「あー、やりたくない。でもやらなくちゃ」の葛藤が始まって、思考が止まってしまうのです。

しばらくして「いかんいかん、また集中してなかった」と再開するのですが、どうしても、どうしても、どうしても、問題文の内容が頭に入ってこない。

あまりにもどうしようもないので、「とりあえず手を動かそう」と思うと、ただ解答をそのままノートに写すことしかできないのです……。

これには自分でも愕然としました。

スポーツなどで「イップス」と呼ばれる状態に陥ることがありますが、イメージとしてはあれに近かったのではないかと、振り返ってみて思います。

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本音に向き合うことが必要だった

あのときの私に必要だったのは、「もう勉強したくない」という気持ちを、1週間でも、1か月でもいいから、しっかり見つめ直すことが必要だったのだ、と思います。

当時は「ただでさえ出遅れているからそんなことしてる時間ない」と焦ってしまったのですが、何をするにしても自分が納得していないと、進めないのです。

納得していない感情は、足を強く引っ張るのです。

だから私は、なぜ「もう勉強したくない」と思うのか、本当によく自分に問う必要がありました。

理由がわかれば、対処法もわかる可能性が高いからです。

ずっと気を張りつめてきたせいで疲れているだけなら、少し勉強を休んで将来を考え直したっていいわけです(結局浪人したので、早い段階で自問自答したほうが良い結果だったかも、と今は思います)。

それでもやはり「〇〇がやりたい」という気持ちがあって、「そのためには大学進学が必要」となるのなら、納得して勉強できたと思うのです(ふつうはこの辺のことを高2までに整理するのでしょうけど)。

あるいは、実は勉強が大嫌いだったのに無理にやってきたのかもしれない。
それならば、別の道を考えたほうが合理的なはずでした。

でも私は、私の本音を、正面から見ることができなかった。

私のアイデンティティを支えてきた「勉強」にすがりつくしかなかったのです。

【この経験から学ぶこと】

人生がうまくいかなかったのは、自分の気持ちを無視しすぎてきたから

ずっと、親の機嫌をとることが第一優先でした。
自分の気持ちを介在させることはできませんでした。

つまり私は、自分の気持ちというものを、常に仮眠状態にしておかないと生きられなかった。

たまにふと自我が起きてしまうのだけれど、「いやいや、寝てて!」と無理に寝かせていたのです。

勉強に限らず、若い頃の私の人生がことごとくうまくいかなかったのは「自分の気持ちを抑圧しすぎていた」からなのだ、と振り返れば非常によくわかります。

でも当時は、自分の気持ちを大事にするなんて、タブー中のタブー。ひどい罪悪感に襲われていました。

自分の気持ちを大事にするだけで罪悪感を感じる、それ自体が、非常に不健全な状態であった、と今はわかります。
でも、あのときはわからなかった。

親を喜ばせることでしか、私は私の価値を感じることができなかったのです。

環境的に仕方がなかったとは思いますが、(親とはいえ)他人に手綱を持たせてしまったこと、とても後悔&反省しています。

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