ししもとの読書ノート

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毒親はなぜ存在するのか |『ウソばっかり!-人間と遺伝子の本当の話ー』より

 竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)

本書は、人間に関する疑問(例:なぜ美人・イケメンに魅かれるのか、など)を、主に動物行動学の観点から解明、解説した本なんですが。

一目惚れをする人は相手の免疫力の高さを見抜いている!?


本書内の「毒親がなぜ存在するのか」の解説がおもしろかったので、紹介します。

ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -

ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -

 

 

毒親の存在理由

本書で最も衝撃的だったのが、毒親に関する解説。

まず、毒親について。
最近よく耳にするようになったので、ご存じの方も多いとは思いますが。

毒親とは、一言で言うなら、親であることの権威を振りかざし、子を過剰に支配しようとする親。

引用元:竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)p.74

 
私の親もこれです(特に母)。

小さい頃から「(母の)理想とする娘」でないと許されませんでした。

少しでも逆らおうものなら、「お母さんの言うこと聞かないんだったら、あんたを置いて出て行くんだからね!」と何度脅されたかわかりません。

母は学歴コンプレックスみたいなものが強かったので、勉強に関しては特に干渉してきました。

98点をとれば「なんでこの2点落としたのよ!」と言われるし、1番でないと知ると「なんであんな子に負けるのよ!」と何時間もネチネチと言われるのです(あんな子、ってすごく失礼な言い方ですし、当時中学生ながら腹が立ちました)。


勉強ができていればなんとかなるだろうと考えた私は、必死に努力して大学院まで進み、専門職につきました。これでようやく母も満足してくれるだろうと思いきや、大いに甘かった。

今度は私が独身であることが気になり出したらしく(おそらく、周囲に人の孫の話についていけないのが悔しいだけ)、「結婚、結婚」と言いだしたのです。
それまでは「今妊娠したらあんたの人生終わるんだからね」なんてさんざん脅していたくせに。
(一年前「今妊娠したらアンタの人生終わる」
 一年後「早く孫を産め!!」
ってもう、一貫性がなさすぎて意味がわからんよ)


さらに「あんたが高学歴になったのがいけないのよ。適当な女子大に入って、インカレサークルで良い人捕まえればよかったのに」と追い打ちをかけてくる始末。
(適当な女子大でいいなら、なぜ成績が1番でないと許されなかったのか……)

男友達や同僚(男性)の結婚式に参列する度に「なんで他の女にとられなきゃならないのよ!どうしてその人(新郎)に結婚してくれって頼まなかったのよ!」なんて恐ろしいことを言うのです。
(相手にも私にも選ぶ権利ってもんがあるでしょうよ……)

届いた年賀状をひとしきり眺めた後「はぁーあ、私だけ孫がいなくてかわいそう」とねばねばした目で母に見つめられたとき、「この人を満たすことは、私には一生できない」と思い知り、いろんなものがプツッと切れたのでした。


失礼しました、ちょっとヒートアップして話が逸れてしまいましたが、こういう毒親、実は結構いるんですよね。

著者の母親もまた、毒親だったそう。
だからこそ、毒親に関する考察も鋭いものとなっています。

親が子の行動に、かなり深いところまで介入するというのは、動物本来の性質として当たり前だということです。子とは自分の遺伝子のコピーの半分を受け継いでいる存在。そして生物は自分の遺伝子のコピーをいかに次の世代へと受け渡していくかの理論で動いている。とすれば親が子の行動を操り、自分の遺伝子のコピーを最大限その次の世代へ残そうとするのは当然の行いです。

引用元:竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)p.78

 

ひえー。子への介入は遺伝子の仕業だなんて。こわいこわい。

しかしこの介入も、度が過ぎれば逆効果のはず、とアダルトチルドレン当事者の一人としては思うのです。

実際私は母との関係がトラウマで、子を持ちたいという気持ちを失った者です。こういうことを表明すると世間からは怒られてしまいますが……。


子孫繁栄に逆効果ということであれば、今後はゆるめの毒親だけ残って、強烈な毒親は淘汰されていくのでしょうか。

そう仮定してみると、確かに強烈毒親育ちの私は子を残す気がないわけですから、その遺伝子は途絶えそうです(ちなみに一人っ子)。


ただ、そういった、逆効果になるという危険性もはらんでいながら、毒親がいなくならないのはなんでだろうと思う私に、著者はこんな理由も提示してくれました。

 私が常に思っていたこと、それは、こんな親からは一刻も早く離れて自立したいということでした。実はこれが毒親1つの戦略として存在し、いつまでたっても“毒親遺伝子”とでも言えるものがなくならない理由ではないかと思います。

引用元:竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)p.78

 

親から離れたいと思わせることが戦略ですと!?

でも確かに、私も何度も思いました。
特に十代後半、親と縁が切れないことに絶望していましたし。

何しろ子が早く家を出て独立すれば、その子は早めに次の繁殖を始めることになります。避妊法が確立された現在とは違い、かつては親元を離れ、誰か異性と暮らしをともにするということは即ち、子ができることを意味していたのです。

引用元:竹内久美子『ウソばっかり! - 人間と遺伝子の本当の話 -』ワニブックス(2018)p.79


若くして家を出る→経済力もないし、精神的にも不安なので誰か異性と暮らすことになる→(避妊法が確立しない時代であれば)子ができてしまう=毒親遺伝子目標達成、ほくそ笑む!
というわけですか。

衝撃です。
ああ、現代に生まれただけまだマシだったかも。


子を持ちたくない自分を異常者だと思って責めてきたけれど、人類の進化の大きな流れのなかで考えれば、長い時間をかけて滅びる遺伝子があることもまた進化なのかもしれません(※あくまで動物行動学的にいえば、ですが)。

 

おわりに

愚かな過干渉母も、遺伝子に踊らされていたのだ、と考えると……。

だからといって、すべてがチャラになるわけではありませんけどね。

 

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