加藤諦三氏の愛されなかった時どう生きるか 甘えと劣等感の心理学 PHP文庫を読みながら、学び、感想をまとめ、今後の生きる知恵をつけています。
本記事のポイント
・愛情不足で育った人は、親に似ている人ではなくて、「自己受容できている人」とつきあうとよい
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なぜか親と似たような人と接点が生じてしまう
親に愛されなかったからこそ、せめて、ほかの周囲の人たちには愛されたい。
心の底からそう思ってきました。
しかし!これがまたうまくいかないのが機能不全家族出身者のつらいところ。
多くの愛されなかった人は、神経症タイプの人間から神経症タイプの人間へとわたりあるいてしまう。そして、「人にとりいろうとする動機」に支配されて奴隷のように生きたり、或いは他人の願いを踏みにじる支配的な人間として生きてしまう。
加藤諦三「愛されなかった時どう生きるか 甘えと劣等感の心理学」PHP(1989)p.133
ほんとこれ。
愛情不足すぎて、誰彼かまわず「好かれたい」となってしまって、嫌いな人の機嫌すらもとりにいってしまうんですよね。
イヤな態度をとってくる相手に対してでも、「感じ悪いなこの人」とは思いつつも、「まあ、うちの親だってこんなもんだしな」と見て見ぬフリしてしまう。
親をはじめ、否定的態度の人間にある意味慣れてしまっているので、どこかなじんでしまうというか……。
著者によれば、愛されなかった人は抑圧(望まない感情などと向き合わずに追い払う)を抱え込んでいるのですが、だからこそ、他人の抑圧にも気づかないそうです。
結果、同じく抑圧している人と、一見、気が合ってしまうのです。
気が合うといっても、憎しみを共有しているだけで、心のふれあいはない。
他者を否定することによって、自尊心を回復しようとするスタイルが同じだけ。
つまり、愛されなかった人こそ、「慣れているからなんとなく安心する」人を選ぶのではなくて、「自分のことも他人のことも受け止めることができる」人を選ぶことが大事になってきます(友人であれ、恋人であれ)。
愛されなかった人は、「自己受容できている人」とつきあうとよい
愛されなかった人の多くは、基本的に自己受容ができていません(そもそも親自身が自己受容できていないからこの状況になっている)。
私が全く自己受容できていなかった頃を思い出してみても、自分にも他人にもとても厳しかったと思います。
良い意味での厳しさではなくて、とにかくただ文句をつけたいというような、否定的・批判的姿勢で生きていました。
自己受容できていない人が、同じような、自己受容できていない人と一緒にいると、お互いが心の中で批判し合って、ますます負のループに入り込んでいく気がします。
口に出さずとも、心の中で思っていると、なんとなく伝わるものですよね。
「また批判されるのでは?」と怖くなって防衛的になり、自由を失っていくと、経験上思います。
では、自己受容している人をどうやって見分けたらいいのか。
本書では3つのポイントが挙げられていました。
詳しくは後の記事で掘り下げていきますので、ここでは要点を挙げておきます。
自己受容している人の特徴3つ
① 自分の願望に素直で、他人の願望にも寛容
→別の言い方をすると「一人時間を楽しめる人」。
一人の時間を楽しめない人はだれかに依存、干渉してしまうのですね(たしかにうちの母もそうだった)。
※ただし、一人の時間を楽しめる人でも、親密な友人がいない人の場合は単に孤独に逃避しているだけの可能性があるそうです(→私自身はこっちかも汗)。
② 他者の弱点にイライラしない
→「こうしたほうがいいよね」という理想はありつつも、それを満たせないからといって見捨てたりすることがない人(親は真逆でしたよね?)。
弱点があるのをわかっていつつも、同時に長所も見てくれる。
弱点を責めず、成長を待ってくれる人。
③ 自然なふるまいをしている
→自己受容できている人は、わざわざ自分を犠牲にしてまで人によく思われようとしないので、自分の素直な気持ちに沿って行動しています。結果的に、「自然なふるまい」ができるということ(あからさまなお世辞を言ったりしない)。
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おわりに
個人的には、3つの要素のなかで「弱点にイライラしない人」という要素が特に大事かなと思います。
「ここがダメあれが足りないこれが足りない」と言われつづけた人間としては、常に「弱点を指摘されるのでは」と構えるようになってしまい、「あなたはいつもどうしてそんなに力んでるの?」とよく言われますので。
たしかに、弱点を指摘する気がない人からすれば、やけに構えられても「そ、そんな、私はあなたを攻撃するつもりなんてないのに……」とそれはそれで悲しいですものね。
口に出さずとも心の中でさばいている場合はあるので(過去の私はこれ)、言葉だけを鵜呑みにするのではなく、「一緒にいてなんとなく居心地がいい相手」というのが大事なのでしょうね。
(もう私はガチガチにりきむクセがついてしまって、なかなか判断するのが難しいのですが)
この自己受容の3ポイントについて、次の記事でより深く考えていますので、ご興味ある方はそちらもごらんください。
参考文献
※本記事で参照した書籍は単行本のほうなのですが、リンクがなかったので文庫版のリンクを貼っています。
愛されなかった時どう生きるか 甘えと劣等感の心理学 PHP文庫